2012年2月11日土曜日

雪の降る日はノイズが多い

短波放送、雪が降る冬は雑音が多い。
乾燥した雪がアンテナに触れると摩擦電気が起こり無線アンテナに帯電する。
そうなるとアナログテレビの放送の無いチャンネルのようなザーッという強い雑音が発生して、信号が受信出来なくなる。
アンテナに溜まった電気が放電し始めるとこれが「ビャー」という音に変わる。

この雑音はとても高い電圧なので、無線機内の半導体を破壊する恐れもある。
ひどい時は外したアンテナのプラグの先から火花がでるくらい凄い。
だから、アンテナにはすぐに遮断できる様に「アンテナスイッチ」を付けてある。
この雑音は雪が降るたびに春までしばらく続く。

写真は漁業無線局で使われていた受信機。
普通、漁業無線の交信はあらかじめそれぞれに交信周波数が指定されている。
だからこの写真のような扇形のダイヤルを回して相手を探す事は少ない。
送信も受信もあらかじめ指定周波数にセットされたチャンネルがあり、スイッチで切り替えるだけで待ち受けて聴く事が出来る機能的な通信システムだった。
だからこの受信機は補助に使われていたのではないかと思う。

今は船と漁業無線局との長距離交信が減り、通話が簡単な衛星回線が使われている。
そのため、そびえ立つアンテナ塔を持つ基地局が次々と閉鎖されている。
今でも近海の漁模様や、水揚げする市場の値動きなど時々短波無線で聴く事が出来る。
チャンネルに設定された以外の周波数はこの左側の扇形ダイヤルで選局する。
左側のダイヤルは漁業無線専用のダイヤルになっていて、周波数も安定して聴けるが、海外放送やアマチュア無線通信などは入らないようにうまく設計されている。
右側のダイヤルは中波の国内ラジオ放送や、短波の海外放送などを網羅して聴けるようになっているちょっと変わった受信機。

さてまたノイズの話しだが、同じ中古受信機でも真空管受信機と半導体(トランジスターやIC)を使った受信機を比べると真空管受信機の方が放送を聴きやすく感じる。
これは電波を受信する時、聞こえるノイズの質が違うのである。
半導体を使った受信機のノイズは何となく「じゃりじゃり」した音だったり「シーシー」
という甲高い音して耳にうるさいのだが、真空管受信機のノイズは新雪の様にサラサラ・ふわりとした柔らかな音に聞こえる。
この受信機で海外放送を聴くのが私の楽しみの一つになっている。

かつてソ連時代、マヤーク形と悪名の付いた妨害電波があった。
ソビエトのプロパガンダ放送局が妨害雑音局に変身して、海外からのロシア向け放送を妨害雑音で潰すのである。
現在そのロシア放送局「ラジオマヤーク』は中波でも聴く事が出来る。
とても軽やかな雰囲気のラジオ局だ。
スタジオでの悪ふざけがYouTubeに投稿されていた。
http://www.youtube.com/watch?v=sQN6mP4DqGk